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ドラゴンクエスト・バトルロワイアル Lv11

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/01/10(月) 11:38:18 ID:jLOS2bOL0
ドラクエのキャラクターのみでバトルロワイアルをしようというリレー企画です。
本家FFDQロワとは違い小規模に進めたいと思います。
クオリティは特に求めません。話に矛盾、間違いがなければOK。短期完結を目指します。
 ※キャラの予約制あり。
予約をする際は捨てトリで構わないのでトリップを付け、使用するキャラを全て明記して予約してください。
予約期間3日で、予約の書き込みから72時間が経過すると予約解除として扱います。
ただし事前または期間中に申請を行えば、予約期間を7日に延長することができます。
「予約キャンセル」等、予約に関することは他の書き手さんが検索しやすいように必ず「予約」の文字を入れてください。
 もし投下作品に不安があるのなら、総合掲示板の「投下SS一時置き場」でアドバイスを受けてください。


詳しい説明は>>2以降で。
【前スレ】(これ以前の過去スレはまとめサイトでどうぞ)
ドラゴンクエスト・バトルロワイアル Lv10
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/ff/1230817063/
ドラゴンクエスト・バトルロワイアル Lv9
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/ff/1205632822/


【避難所】 DQBR総合掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/game/30317/
【旧まとめ跡地】 ドラゴンクエスト・バトルロワイアルまとめサイト
http://www5.pf-x.net/~dqbr/
【まとめサイト(携帯用)】 ドラゴンクエスト・バトルロワイアル保管庫@モバイル
http://dq.first-create.com/dqbr/
【まとめサイト(wiki)】 ドラゴンクエスト・バトルロワイアル仮まとめwiki
http://dq.first-create.com/dqbr/wiki/wiki.cgi
【絵師スレ】 DQBRお絵かき掲示板
http://bbs3.oebit.jp/dqbr/


914 :ゲーム開始3:2012/04/02(月) 19:30:15.75 ID:9KPhu1tx0
怪鳥の声を聞き、蒼髪の青年が首に触れる。
その行為をきっかけに皆一様に己が首に触れ、周囲の他人の首を見やる。
そこには冷たく無機質に光る、枷のようなものが嵌められていた。

「その環を嵌めている限り、一切の反抗は無力と化す!」
「なおも抗うという愚か者には、死の定めが待っていよう。
 お前たちにはもはや、我々に従い戦いを受入れる道しか残されていない」

四方を囲まれ、魔族の笑いだけが広間に響く。
あるものは驚きに、あるものは怒りに、またあるものは絶望に。
それぞれ、様々なる感情を抱え、全員が言葉を失った。

「ふざけるな…っ!誰が、お前たちの言うことなんかっ……!!」
「ほほう。我々に従えぬなら……ゲームの開始を見ずして、今ここで死をくれてやる」

ムドーは、すっと手を伸ばす。
だが、矛先が向いたのは彼ではなかった。

「但し、貴様にではない」
「!?」

彼とよく似た蒼髪の少女。
村娘風の、素朴な衣服を身にまとっていた。
ムドーが伸ばしたその手を合図に、彼女の首輪が耳障りな音を上げる。

(ピッ ピッ ピッ……)

「えっ……っ!?」
「!?ターニアっ!!」

ターニアと呼ばれた少女が小さな悲鳴を上げる。
何やら自分の首元で、枷が音を立てているのだ。

「ムドーっ!何を─」
「心して見るがよい。
 殺し合いを拒む愚か者には、残酷なる死を与える!!」
「!」

何が起こるか、察しがついた少女が恐慌状態になりへたり込む。
青年が彼女に駆けよる間もなく、死への秒読みは始まり、止まらない。

「いやっ……!!やだよ!!やだぁっ!!」
「ターニアっ!!ターニアーっ!!」
「助けておにいちゃんっ!!おに…」



いやに軽い爆発音が、周囲に響いた。
首から上を失った華奢な体から、急速に力が失われる。
まるで慣れないダンスでも踊るかのようにぐらりと傾ぎ、そして倒れた。
それっきり、動かなくなる。

915 :ゲーム開始4:2012/04/02(月) 19:30:48.22 ID:9KPhu1tx0
「たっ……」

青年の顔が、色を失う。
目は見開かれ、伸ばした手は空を掴み。
そのまま声を失い、がくりと項垂れた。
ようやく事態が呑み込めた者の悲鳴やどよめきが巻き起こる。
しかし、ムドーや他の魔族たちの掌が再びこちらに見せつけるように掲げられ、一同は押し黙った。

「この通り、諸君の命は我々の手の内にあるということだ。無駄に命を散らせてくれるなよ」

どことなく気取った調子の新たなる声が、一同の耳に届く。
巨大な蝙蝠のような翼を持つ、まさに悪魔と形容すべき姿の新たなる魔族が現れたのだ。
大きな口に牙をむき出し、広間の階段を一段一段降りながら話を続ける。

「私はアクバー。さるお方に変わりこの場の指揮を執り行っている。
 詳しいルールの説明をさせていただこう」

916 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/02(月) 19:33:32.72 ID:g3iqki6r0
割り込むようで悪いんだけど、採用になったOPはこれじゃなくて2番目の奴じゃなかった?

917 :911:2012/04/02(月) 19:40:09.53 ID:3GMbzZ8GO
911です。
誘導先を見に行って混乱してしまいDQ6だからこれだと勘違いしてしまいました
貼り付ける文章を間違えていてすみませんでした
しかも連投規制が入りPCから書き込めなくなるという失態…スレ汚しして本当に申し訳ありません

918 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/02(月) 20:02:46.60 ID:H83mn62oI
>>911気にするなお前さんはよくやってくれたほうだ
ところで、没OPもwikiができたら収録してあげてくれまいか
没もまた埋もれるのは惜しい名作だったし

919 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/02(月) 20:07:49.77 ID:g3iqki6r0
じゃあ代わりにOP貼ります

920 :破滅の宴 ◇UlnmVKQRRM:2012/04/02(月) 20:08:52.21 ID:g3iqki6r0
ボンッ……

何かが破裂するような音と、続くどよめきを聞いて彼は目覚めた。

「こ、ここは」
「目覚めたか、サマルトリアの王子よ」
「あなたは、竜王!?」

聞きなれた声に振り向くと、そこにはアレフガルドで出会った竜王の曾孫が居た。

「このような状況でもすやすやと寝入っているとはな、さすがはのんき者と名高いだけはある」
「や、やめて下さいよ……。それより一体なにが……」

彼――サマルトリアの王子は周囲を見渡して、その異常さに動揺する。
辺りは薄暗く、近くに居る竜王の曾孫の顔がうっすらと判別できる程度。
だが周りに居るのは彼だけではなった。
何十人もの姿が暗がりに散らばっている。辺りはごく一般的な城の大広間くらいだろうか。
光源はわずかに壁に掛けられた松明のみ。広間全域を照らすには明らかに不足している。
その時になりようやく王子は自分が床に半身を起した状態でいることに気付き立ちあがった。
改めて周りを見渡すがどう考えても見覚えのない場所だ。
彼の知る城は5つほどあるが、広間の造りはそのどれとも該当しない。
灯りがとぼしいせいで、百人には届かないだろうという人影以外は何も見えない。
天井は存在しない。いや、あるのかも知れないが少なくとも視える範囲では確認できなかった。
ただ暗い闇が頭上を覆っているだけだ。
彼は寒気を感じ、身震いする。

「何処、なんですか? ここは」
「解らん」

竜王に尋ねるも、返ってきたのは簡潔な否定文だった。

921 :破滅の宴 ◇UlnmVKQRRM:2012/04/02(月) 20:09:53.07 ID:g3iqki6r0
「意地悪しないでくださいよ、僕には状況がさっぱり飲み込めません」

その言葉に竜王の曾孫は嘆息する。

「そうではない、本当に儂にも解らんのだ。儂は自分の城に居た筈だ。
 そこで本を読んでいたことまでは覚えているが、そこから記憶がない。気がつけばここに居たのだ。
 誰かは知らぬが大層な真似をしてくれるものよ――」

「そんな、まさか僕らは――拉致されたんですか?」
「そう考えるより他あるまい」

此処に至ってようやくサマルトリアの王子は事態の深刻さを理解し始めていた。

「もしや、ここに居る人たちは……」
「うむ。人、だけではないが漏れ聞く言の葉の断片を拾うには我らと同じ境遇のようじゃな」

竜王の曾孫は油断なく周囲を観察している。

「じゃあ、誰かと話してみましょう。何かわかるかも……」
「今は止めておけ。儂もそうだが、警戒されておる。この空間に漂う妖気は尋常のものではない。
 下手に刺激をすると鬼が飛び出すやも知れぬ。」

言われて彼はは気づいた。
空気に混じった粘りつくような濃厚な闇の気配に。
先ほどからの悪寒の正体はこれだったのだ。
見れば他の人間――だけでなく怪物もいる――たちも肩を押さえて震えていたり、敵意満載の目で周囲を警戒していたりしている。
確かに迂闊な挙動はさけるべきなのかもしれない。

「しかしこのままでは……」
「それにこの首輪のこともある」
「?」

922 :破滅の宴 ◇UlnmVKQRRM:2012/04/02(月) 20:10:54.46 ID:g3iqki6r0
竜王が指し示したのは己の首に嵌る鈍く黒光りする金属の首輪。

「あれ、それ前からしてましたっけ?」
「馬鹿を言うな。それにお前の首にも嵌っておるわ」

咄嗟に首に手をやると指に伝わるヒヤリとした金属の手触り。

「なんだこれ!」
「よせ!!」

思わず力任せに首輪を引きちぎろうとした――が、竜王がその腕を掴んで止める。

「どうして止めるんです?」
「先ほどお前と同じ真似をした輩がいた」
「……どうなったんです?」
「今度から肩までの高さで身長を測る羽目になった。あれだ」

広間の中央あたりに青いコートを着た首なし死体が転がっていた。
首は……その死体から数メートル離れた場所にぽつんと落ちている。
近づくものは誰もいない。

「さっきまで混乱した空気が張り詰めて一気に破裂しそうだったのだが、
 彼奴のおかげで冷水が浴びせかけられたように鎮まった。
 あと数分も保たぬだろうが、今は誰もが状況を観察することを選択したようだ。
 ともかくこの首輪は外そうとすると爆発する。己の首が邪魔だというなら別に止める理由はないが」
「本当……なんですか?」
「残念ながらな」

竜王の表情からは一切の欺瞞を感じられず、どうやら自分は九死に一生を得たらしいと悟って
王子は生唾を飲み込んだ。

923 :破滅の宴 ◇UlnmVKQRRM:2012/04/02(月) 20:11:54.96 ID:g3iqki6r0
「あの、竜の長者たるあなたなら多少の爆発くらいどうにか……」
「実際に爆発を見た儂が断言しよう。おそらく我が曾祖父、真なる竜王でさえも抗えぬであろうな」
「そんな」

その時、いきなり空間に光が射し込んだ。
突然明るくなったかと思うとしゃがれた老人の声が響き渡る。

「やれやれ、どうも先走った輩がいるようじゃの……残念だ。
 準備が遅れたのはこちらの落ち度なれど、な」

見上げると空間の中央に一人の老人が浮いていた。
見るからに齢100を超えていそうな禿頭の老人。魔族であることを物語る真紅の肌と長く真っ白に染まった口髭。
王子は目にした瞬間に理解した。
その老人がこれまで相対したどんな怪物よりも強大な力を秘めていることを。
力だけを見ても、もしかすればあの破壊神シドーに匹敵するかもしれなかった。

「何者だ……あいつ」
「どうやらこの悪趣味な宴の主催者さまのようだな」

竜王の顔も険しくなっている。

他の者たちも老人の発する圧倒的な重圧に気圧されたのか動きはない。
だが一人、叫んだ者がいた。

「デスタムーア! 滅んだはずじゃ!?」
「しばらくぶりだなレイドックの王子よ。だがおぬしに構ってるわけにはいかぬのだ。
 死にたくないなら少し黙っておれ。」

デスタムーアと呼ばれた老人は、叫んだ青い髪を逆立てた青年を一瞥すると再び空間全体を見渡した。

924 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/02(月) 20:15:02.59 ID:EkgOozBiO


925 :破滅の宴 ◇UlnmVKQRRM:2012/04/02(月) 20:20:16.97 ID:EkgOozBiO
「ようこそ、我が城へ。我が名は大魔王デスタムーア。
 突然の招待に驚かれた者も多いだろうが歓迎しよう。こうして集まってもらったのは他でもない……」

デスタムーアはいったんそこで言葉を止めるとニヤリと哂った。


 『 お前たちにはこれより、殺し合いをしてもらう 』


大きなどよめきが沸き起こる。
(ふざけるな!)
王子はそう叫ぼうとしたがデスタムーアの妖気に気圧され、口が開かない。
(僕は……ビビってるのか……あいつの妖気に)

「!!」

ドシュウウウウウウウウ

その時、デスタムーアが突然竜巻につつまれた。
全ての魔を裂断する疾風の呪文。
ムーンブルグの王女が好んで使うバギによく似た、それでいて遥かに凌ぐ威力の術のようだった。
王子は知る由もないがバギ系の最上級呪文バギクロスだ。

「チャモロ!?」

誰かが名を呼び、一同の視線が集まる。
黄色い双角の帽子を被りメガネをかけた少年僧侶。
彼がデスタムーアに攻撃呪文を放ったのだ。

「やった!?」
「いや、マズイな」

926 :破滅の宴 ◇UlnmVKQRRM:2012/04/02(月) 20:22:39.27 ID:EkgOozBiO
王子は一瞬、竜巻の呪文によりデスタムーアが倒れることを期待したが
竜王は即座に無駄を悟っていた。

「チャモロ、退くんだ!!」
「何を言うのです、善なる神のしもべとして彼の存在は許せない!!」

先ほどの青髪の青年がチャモロという少年を制止しようとするが、チャモロは再び呪文を唱え始めた。

「もう一度喰らえ、バギクロス!!」

再び竜巻が巻き起こり――それが一瞬で掻き消えた。

「え?」

見れば宙に浮くデスタムーアは無傷で健在だった。

「我が言葉を中断させるとは……貴様には見せしめになってもらおうか」
「なにを――」

チャモロは最後までいうことができなかった。

ボンッ!

にぶい破裂音と同時にチャモロの首は一瞬にして宙へと舞い上がった。
なにがおこったのか理解できず、王子は目を見開く。

「チャモロォ!!」

力を失い、崩れ落ちる身体を青髪の青年が駆け寄り、抱き支える。
そのすぐ後に、チャモロの首が落ちてきた。

927 :破滅の宴 ◇UlnmVKQRRM:2012/04/02(月) 20:25:03.64 ID:EkgOozBiO
ドサッ、コロコロ……

「う、あ……」

青年の他に何人か仲間と思しき者たちが駆け寄っていたが、全員が息を呑んで動きを止めた。

「私の話を邪魔する者は消えたかな? まだ居るのなら名乗りでよ、速やかに沈黙させてやろう」

その言葉に青年は頭上の老人を睨みつけるが、動こうとはしなかった。
彼だけではない。その場にいる誰もが動けなかった。

「懸命だな。どうやらこの首輪は……奴の切り札ということか」

竜王の曾孫は再び首輪に手を触れる。
この首輪が嵌められている限り、今デスタムーアに逆らうのは死を意味する。
あの爆発を見た者ならばそれが耐えられるものかどうか判断できるだろう。
そしてこの場に居る全員が動かぬということは、抗える者は存在しないということ――

デスタムーアはもう一度周囲を見渡し、敵意はあれど動こうとする者がいないことを確認して
満足そうに頷いた。

「では説明に入ろうか。といってもお前たちに伝えられる情報はそう多くはない。
 お前たちにはこれから私が作り上げた擬似世界にいってもらい、そこで殺し合いをしてもらうことになる。
 生き残れるのは最後の一人だけ。
 その優勝者には私が責任を持って元の世界に戻すと同時にどんな願いもかなえてやろう。
 富も名誉も、なんなら死んだ人間の蘇生だって請け負ってもよい」

集められた者たちの中に動揺の気配が広がる。
明らかに心動かされた者が何人かいるようだ。

928 :破滅の宴 ◇UlnmVKQRRM:2012/04/02(月) 20:27:26.97 ID:EkgOozBiO
「信じる、信じないはお前たちの勝手だ。だがそこにいるレイドックの王子ならば私がそれだけの力を持っていると
 知っているのではないか?」
「……」

レイドックの王子という青年は怒りを押し殺し沈黙を返す。
それはあの大魔王の問いを肯定したように見えた。

それを満足そうに見やるとデスタムーアはパチンと指を鳴らした。
すると突然サマルトリアの王子の、竜王の曾孫の、いやその場にいる全員の足元に麻袋が出現した。

「それは私がお前たちにおくるプレゼントだよ。食料や地図、その他いろいろ入っておる。
 戦うための「武器」や「道具」もな。簡素ではあるがルールブックも中に入れておいた。
 向こうに着いたら目を通しておくことだ。ルールを知らぬでは簡単に死が訪れよう、それでは詰まらぬ」

その言葉を聞いた次の瞬間、サマルトリアの王子の体は浮遊感につつまれた。
周囲の景色が白く染まっていく。

「こ…これは?」

「それでは諸君、健闘を祈る。せいぜい我らを楽しませてくれ」

デスタムーアの哄笑を聞きながら彼の意識は薄れていった。

「さあ、ゲームを始めよう」

【マルチェロ@DQ8 死亡】
【チャモロ@DQ6 死亡】
【残り60名】

【ゲームスタート】
※ジョーカーはムドー・ジャミラス・グラコス・デュランの4人。ゲームの管理運営、放送はアクバーが担当します。

929 :破滅の宴 ◇UlnmVKQRRM:2012/04/02(月) 20:27:52.29 ID:g3iqki6r0
終わり

930 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/02(月) 20:55:40.36 ID:3GMbzZ8GO
ありがとうございます!
とても見やすいです

931 : ◆jOgmbj5Stk :2012/04/02(月) 21:07:31.66 ID:SfYijM+g0
http://w.livedoor.jp/dqbr2/

とりあえず最低限と思われる、本編、名簿、MAPを更新しました。
今のところ誰でも編集できる設定ですので、余裕のある時には皆さんのご協力をよろしくお願いします。

トップページ案募集中。

932 :守護神 ◇CruTUZYrlM:2012/04/02(月) 22:30:39.33 ID:SfYijM+g0
「ちょっと、私を無視するなんていい度胸ね?」
彼女がこの地に舞い降りた時、視界に映っていたのは一体のゴーレムだった。
ゴーレムは町の入り口を塞ぐように、ただ佇んでいた。

彼女はゴーレムという魔物を知っている。
知っている、というには少し語弊があるか。ともかく、その存在は人づての話で聞いたことがある。
煉瓦で包まれた巨体に、重量感を伴う素早い動きから力強い一撃を繰り出す魔物。
そして、彼女が知っているのは襲い掛かる魔物としてのゴーレムだけではない。
あの小魚のような顔をした男と共に冒険をした仲間としてのゴーレムも知っている。
誰もが口を開く所を見たことが無いほどの寡黙。そもそも、口を利くことができるのかどうかすらわからないが。
口を開くことが出来なくても、男はゴーレムと意思疎通をすることが出来ていた。
活発に動くわけではなく、落ち着いた動きで敵と戦う。その特性を見抜き、あの男は常に的確な指示をゴーレムに送っていたそうだ。
名前は「ゴレムス」で、その名前を呼ばれると少し嬉しそうな動きを見せていた。

そんな、ゴレムスと瓜二つのゴーレムが今、彼女の目の前にいる。
彼女の問いかけには一切応じず、ただ、町の外を見つめ続けている。
まるで何かを守るように、ただそこに佇んでいる。

「……はぁ、分かったわよ。もうそこにずっと立ってなさい」
彼女、デボラのマシンガンのような問いかけに一切動じないゴーレム。
その様子に流石の彼女も疲れてしまったのか、ゴーレムへの問いかけを中断する。

ここで一つ、デボラの中に違和感が生まれる。
特に外傷もなく、このゴーレムが活動するには何ら問題ないと判断できる。
そして彼にも忌々しい首輪がついていることから、殺し合いを進めるために用意された魔物ではなく、この殺し合いに巻き込まれているのだと推測できる。
もし、殺し合いを進めるための魔物だったとしたら、奴らはゴーレムにすら怯えて保険をかける程度の連中であるというだけ。

もし彼がゴレムスでも、そうでない野生のゴーレムでも、鈍くて反応が遅れていたと考えても、何度目かの問いかけの時点で敵対か友好かのリアクションを起こせるはずだ。
しかし、目の前のゴーレムは違う。こちらに襲いかかることもなく、ずっと町の外を見つめ続けている。
の言葉を借りるなら、このゴーレムには「心」が無いのだ。
まるで、誰かに作られたかのように。

「ま、いいわ」
そこまで考えていく内に「害がないなら良いだろう」と考え、その場を立ち去ろうとしたときだった。
ゴーレムより少し遠くに、もう一匹の魔物が彼女の視界に写り込んだ。


933 :守護神 ◇CruTUZYrlM:2012/04/02(月) 22:31:26.64 ID:SfYijM+g0

「ククク……只の女がこのような殺し合いにいるとはな」
魔物……いや、魔王バラモスはデボラを視認した後、舌なめずりをしながら彼女に話しかけた。
「そういうアンタこそ、カバみたいな顔してアタシに話しかけるなんていい度胸してるじゃない」
バラモスが魔王である事など知る由も無い彼女は、いつも通りの口調で話しかける。
仮にバラモスが魔王だったと知っていても、彼女の口調は変わらなかっただろう。彼女にとって恐るるに足ることなど、何もないのだから。
そんな彼女のいつも通りを、魔王は強がりと取ったのか、フンッと鼻で笑いながら会話を続ける。
「今の内に強がっておくがいい……地獄の苦しみを味わいながら息絶える事になるのだからな!」
魔王の一言に大きなため息をつき、人差し指と中指で額を押さえながら、やれやれと肩を竦めるデボラ。
申し訳程度に向けられた視線には、憐れみの情さえ感じられる。
「……貴様ァ!!」
怒りに身を任せ、たった一人の女相手に殺意を剥き出しにして飛びかかる魔王。
いつもどおりの挑発を重ねていたデボラは、予想外の素早さに一歩退いてしまう。

デボラがこのまま魔王に襲われ、二度と蘇らないようにはらわたを食い尽くされてしまう。
そこで終わり、彼女の一生は終焉を遂げる。



ハズだったのだが、戦神はほんの少しだけ、ユメを見たかったようだ。

ゴーレムの鉄拳から、高らかに戦いのゴングは鳴り響く。
意識の外から頬を全力で殴られても、後ろに滑りながら踏ん張るところは流石は魔王と言ったところか。
デボラは突然の事態を飲み込めず、瞬きを繰返している。

「おのれ! 邪魔するつもりか!」
大きな石像だと認識していた魔王は、横槍に憤慨しながら石像へ攻撃する。
魔王のカギ爪が、煉瓦と擦れ合い嫌な音を立てる。
それに怯むことなく、ゴーレムは豪腕を振るう。
鈍い音を立てながら、魔王へと拳がめり込んでいく。
物理攻撃では分が悪いと判断したのか、魔王は一歩退いて両手に魔力を込める。
その手から放たれた魔力は閃光となり、ゴーレムへ襲い掛かる。
巻き起こる大爆発、粉塵が町の入り口へと舞う。

その場に呆然と立ち尽くしていたデボラは、鋭い痛みと共に現実に引き戻された。
魔王の腕が自分の体を握り締めている。
骨が軋む嫌な音がする、受けたことの無い激痛が体中を駆け巡り、声を出すことすら叶わない。
「手間をとらせおって……だが、連れていたあの石像もここまでのようだな」
もう少し力を込めてしまえば、簡単に全身の骨が砕けるであろう。
その、ギリギリの線で魔王は力加減をしている。先ほど受けた屈辱を晴らすためだろうか。
町の男たちよりかは力がある自信があった。だが、今はどれだけ力を振り絞ってもこの拘束から逃がれることが出来ない。
魔王からは逃げられない、と言っていたのは誰だったか。彼女の頭にふとその言葉が浮かぶ。
このまま全身の骨を砕かれて死ぬのだ、そう覚悟を決めたとき。
体を大きく揺さぶられ、自身を締め付けていた力が急激に緩んだ。
同時に、バラモスの頬に見覚えのある煉瓦の腕が深々と突き刺さっていた。

934 :守護神 ◇CruTUZYrlM:2012/04/02(月) 22:32:18.66 ID:SfYijM+g0

バラモスのミスは呪文を使ったことだ。
予想以上の固さゆえに、呪文には弱いだろうと踏んだことが何よりもミスだった。
このゴーレムはデボラの推察どおり人的に生成されたものだ。
かの竜王が、ある城塞都市を滅亡させようと企んだのだが、このゴーレムに阻まれている。
一切の攻撃呪文を弾き、圧倒的な防御力と攻撃力を持つ、まさに「鉄壁の巨人」だった。
竜王軍の襲撃で侵入する魔物から、侵入する全ての生物を襲うようになったのは城塞都市側の考慮していないことが起きた以外は完全に無傷だったのだ。
やがて、一人の勇者の血筋を引き継ぐものによって倒される運命にあるのだが、それが起こるのは彼が連れてこられた時より少し後の話になる。
その勇者の血筋を引くものが全身全霊をかけた最強の呪文ですら、彼は動じることは無いのだ。
もっとも、この場にいる全ての人間がそれを知る由も無いのだが。
勇者のみが扱えるとされる雷すら耐える彼にとって、爆発を耐えることなど簡単なことであった。
粉塵が消え、魔王の姿を目視できれば、もう一度殴りかかることなど容易である。

突然拘束から逃れ、ぶっきらぼうに地面に放り出されたデボラは、ようやく自分の置かれた状況を飲み込むことが出来た。
魔王が手加減をしていたおかげで、まだ体を動かすことは出来る。
このタイミングで逃げることも出来るかもしれない。だが、先ほどのあの素早さを考えればゴーレムを足止めしてから自分を殺しに来ることも可能なはずだ。
あのゴーレムも、魔王を単騎で殺し切ることなどできないだろう。このままの状況が続けばジリ貧になるだけだ。
彼女が無自覚のうちに町側からゴーレムに話しかけたことが幸いして、自分はゴーレムの攻撃対象としては認識されていない。
あの男や、フローラのように長期間冒険を重ね、大魔王の討伐など経験した訳ではない。
だが、自分も親の目を盗み、船を借りてこっそりと冒険の旅に出ていたことはある。
そこで出てくる魔物程度なら倒せるようにもなったし、呪文の扱いも分かって来てはいる。実戦経験が全くのゼロという訳ではない。
このままゴーレムがやられるのを黙って見届け、自分もみすみす殺されるくらいなら。
「そうよ、アンタみたいなカバに好き放題やらせないんだから」
そう呟き、ふくろから出したマントを羽織り、片手に魔神の金槌を携えて。
彼女は、魔王へと飛びかかっていった。

「チィ! まだ動くか!」
呪文が効かない、それに気がつき始めた魔王の顔に若干の焦りが浮かぶ。
しかし、ゴーレムの方も流石に魔王相手に無傷というわけには行かない。
魔王の爪によって、ゴーレムの体にも損傷が目立って来た。
それでも怯むことなく、ゴーレムは腕を振るい続ける。
しかし何度目かの魔王の攻撃で、ついにゴーレムの体勢が傾く。
この好機を逃すわけにはいかない、バラモスは力を込めてゴーレムの足を砕きに行く。


935 :守護神 ◇CruTUZYrlM:2012/04/02(月) 22:32:58.17 ID:SfYijM+g0

「はァァァァ!!!」
そこに、一陣の風が巻き起こる。
振り下ろされた鉄槌は当たる事は叶わなかったものの、地面を大きく揺るがした。
「小娘……尻尾を巻いて逃げたとばかり思っていたが、わざわざ殺されに来たか」
デボラは不敵に笑う、その笑みが魔王の怒りをさらに蘇らせる。
「わざわざ殺されに来た? 勘違いしないで、ア・タ・シがアンタの相手してあげるのよ。
 分かったらアンタがさっさと倒れてくれたらこっちも楽なんだけどねぇ」
「たわ言を!」
「マヌーサ!」
魔王が飛びかかるタイミングで、デボラも呪文を打つ。
魔物と闘う上での基本。真っ向で殴りあうのではなく、多種多様の手を使いながら相手を弱らせること。
そのために彼女がまず打ったのは相手に幻覚を作り出して惑わせる呪文、マヌーサ。魔王バラモスは、この呪文に僅かに耐性が無かった。
只でさえ力の無い小娘に小馬鹿にされ、巨像には殴られている始末の現状で、怒り心頭の魔王が防禦耐性を取ることなど考えもしなかった。
結果、そのわずかな耐性の無さを突かれてしまう。
「小癪な……!」
ゴーレムとデボラの姿が視界に複数映りこむ。
どれが本物なのか、バラモスに確かめる術はない。
状況判断を強いられている最中に、次の攻めてが飛ぶ。
「ベギ……ラゴン!!」
わずかな冒険でも、数を重ねれば大きな経験となる。
彼女が積み重ねた冒険から学んだ、最強の呪文を魔王に向けて放つ。
一般の女性から放たれるベギラゴンとはいえ、魔王の体を確実に焼いてゆく。
魔王は苛立ちながら腕を振るうが、振るう腕は幻影を捕らえて何もない空を切る。
そして意識がデボラに向いているところを、ゴーレムが殴りかかる。
両者の間に打ち合わせや、意思の疎通は全くない。
ただ、状況がそうなっているだけだ。奇跡的に、両者の動きが噛みあっている。
魔王に着実なダメージが蓄積されているのは、目に見えていた。
「小娘ェェェ!!」
魔王の口から激しい炎が吐き出される。
呪文ならゴーレムの影に隠れれば済むが、炎なら全体的に影響を与えることが出来る。
そこからデボラを炙り出し、まずは幻覚の魔法の根元を打ち切る。
そう考えていたのだが、ここでデボラの強運が発揮される。
彼女が身に纏っていたマントは、彼女が良く知る男の身を守る王者のマント。
悪しき魔物からの炎や吹雪さえも、耐えきる逸品だ。
バラモスの吐く炎に対しても、わずかなダメージで抑えることが出来た。
そのことに、バラモスの苛立ちは大きく加速する。

そして、局面は大きく動く。
幻覚で惑わされ続ける魔王に対して好機と判断したのか、ゴーレムはラッシュをかける。
先ほどより速度の上がった拳が、魔王へと確実に突き刺さる。
魔王は、その一発一発を受け止めるのが精一杯だった。
反撃をすれば、その腕は空を切る。その隙にもう一発の拳が飛んでくる。
これ以上、魔王としてもダメージを受けるわけにはいかないのだ。

デボラは、ゴーレムとバラモスが取っ組み合いをしているのを確認し一歩後ろへ下がる。
今、手に持つ魔神の金槌。
話には聞いていたが、当てれば恐るべき破壊力を引き出すことが出来る。
一度振ってみて分かったが、金槌に「振り回される」のだ。
この力を引き出すには、一点の隙をもう一度、正確に突く必要がある。
そして、その隙はたった今生まれようとしている。

936 :守護神 5/5◇CruTUZYrlM:2012/04/02(月) 22:33:55.34 ID:SfYijM+g0

息を吐き出し、トン、トンと軽く飛び跳ねて、呼吸を落ち着ける。
「おのれ……小癪な人形と小娘め!」
瞬時に駆ける。目指すは只一つ。
「調子に……」
大きく飛ぶ。ゴーレムを優に飛び越し、あの脳天を目掛けて。

鉄槌を、振り下ろす。



会心の――――一撃!!



「乗るなあアァアアアアアアアア!!」
一撃を叩き込んだ瞬間に、デボラ自身も激痛に苛まれる。
魔王の右腕が彼女の腹部を貫き、左腕はゴーレムの拳をしっかりと握り締めて受け止めていた。
「もう……容赦はせんぞ!!」
先ほどとは一段と違う、覇気を纏った声に恐怖するデボラ。
ゴーレムの腕をいとも容易く引きちぎる。
「只の小娘と石像、簡単に勝てると思っていたのが過ちだったようだな」
次に、デボラの上半身を持ち、突き刺した腕を軸に体を上下に引き裂く。
飛び散る鮮血と共に激痛をデボラが襲う。この世のものとは思えない絶叫が、木霊する。
そのまま、握り締めていたデボラを地面に叩き付ける。
地面に触れる瞬間に、ガラス瓶のように全身が飛び散るデボラ。
死を実感する前に、その意識は途切れることになる。
そのまま、血に塗れた腕でゴーレムへと向かう。
咄嗟に臨戦耐性を取るも、魔王の手により足が砕かれる。
バランスを失い、崩れ去るゴーレム。
地に立つことすら叶わず、そのままもう片方の足も砕かれ、残った腕も砕かれ。
最後に、顔面を渾身の力で踏み砕かれ。ゴーレムも、その機能を完全に停止した。
本気を出したその姿は、魔王と呼ぶに相応しい物だった。
「感謝するぞ、我が心から慢心を取り除いたことをな」
一つの死体と残骸を一瞥し、魔王は体力を回復させながら町の中へと歩みを進める。

この場には、未知の存在が多数いる。
この魔王の力を持ってしても、苦しめられるほどの力を持っている者が多数いる。
嘗て、勇者が来たときも自分の中には若干の慢心があった。
その所為で、無様な敗北を遂げてしまった。
何かの縁で制限つきの命を受けた今、次は失敗することは許されない。
この頭の傷と全身のダメージは、それを学ぶ少し高めの授業料だったといえるだろう。
「ゾーマ様、もう一度貴方様の牙となり、お役にたって見せましょう」
覚醒した魔王は絶望を名乗る町へと、一歩ずつ確実にその足を進めていく。


【ゴーレム@DQ1 死亡】
【デボラ@DQ5 死亡】

【G-3/絶望の町入り口/朝】
【バラモス@DQ3】
[状態]:頭部にダメージ(大)、その他全身的にダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:不明(0〜3)、基本支給品
[思考]:誰が相手であろうと、容赦せずに皆殺しに町内へ。
[備考]:本編死亡後。

※絶望の町の入り口を塞ぐようにゴーレムの残骸があり、デボラの上半身が倒れています。両者の支給品はそのままです。
デボラ:魔神のかなづち@DQ5、王者のマント@DQ5、不明1(彼女が扱える武器の類ではない)
ゴーレム:不明3

937 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/02(月) 22:36:24.30 ID:SfYijM+g0
代理投下終了です。

ああ、ついに最初の死者が……。
ゴーレムとデボラの冥福を祈ります。

それにしてもバラモス、さすがの魔王の貫録。
これからに期待です。

938 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/02(月) 22:56:19.41 ID:BkW/IiA70
話を聞かない男、地図の読めない女 の1レス目が抜けてたのでwiki追加しました。

アルスがともえなげ使ってるので、少なくともぶとうか★5は達成済ってことになりますね。
こういうのもwikiに載せてったほうが良さそうですね。

939 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/03(火) 23:19:55.88 ID:oY8ORAK00
代理投下します

940 :牢獄の番人 1/5 ◇HGqzgQ8oUA:2012/04/03(火) 23:21:34.06 ID:oY8ORAK00
ギュメイ将軍が再び意識を取り戻してはじめに抱いた感情は、戸惑いであった。

 ガナン帝国に忠義を尽くした人間としての生涯。
 エルギオスによって豹頭の剣士として蘇られされてなお、ガナン帝国への忠義を選んだ魔獣としての生涯。
 そのいずれも、悔いも無きものであったはずだ。
 自身の生に、既に未練などなく。
 唯一の未練であったのは、主君ガナサダイとその父、先代王ガンベクセンの確執であった。
 が、それさえも天使の少女たちによって無事に解決を見た。
 ガナンの歴史の全てを見届けて、ギュメイは今度こそ天に還ったはずなのだ。

 故に不可解であった。
 再びこうして受肉したことに、果たして今、何の意味があるのか?
 守るべき国は既に無く、従うべき主君は既に亡く。 
 空虚なギュメイの中に、ただ一つ残されていたのは、剣の道であった。

 ゆえにギュメイは立ちあがり、再び剣を取る。
 唯一残されし剣の道。そこに提示されたこの死合いの場。
 強者との対峙は、好敵手との出会いは、ギュメイとしても望むところではある。
 弱者までも斬り捨てることについては抵抗があるものの、帝国再建の前には詮無きこと。
 勝利者へと提示された『褒美』をもって、ガナン帝国の再建を願うのも一興か。
 この再生に意味があるなら、それは国に殉じることであると、己を納得させながら。

 ギュメイが落とされたのは、牢獄の町と呼ばれる施設の地下だった。
 捕らえた虜囚たちを、この場に住まわせて生活させていたであろう、生活の跡が散見されている。
 およそいいとは言えない環境に眉を顰めていると、一人の青年と出会う。
 その身のこなしは戦士として申し分なく、ギュメイは迷うことなく声を張り上げた。

「我が名はギュメイ、ガナン帝国三将の一人! 戦士よ、我と手合わせを願う!」


 ○


「いいぜ。ちょうどひと暴れしたかったところだ……!」

 豹頭の男の出現にも物怖じ一つせず、申し出を二つ返事で了承した青年は、その名をアレルと言う。
 勇者となるべくして生を受け、勇者となるべく育てられてきたこの男は、
 皆が皆、己が望むがままに動いてくれることをいいことに、結構な乱暴者として育った。

 手癖は荒く、旅に出て彼がまず行ったのは民衆からの略奪であった。
 腕っ節は強く、従わぬものは、なんであろうと力で従わせた。
 だが同時に気に入らぬ悪党も片っ端から捻り潰してきたことで、批難の声は徐々に賞賛へと変わっていく。
 人を惹きつける"カリスマ"が、彼には備わっていた。
 付き従う仲間の一計により、魔法の腕輪を身につけるなどで若干の性格矯正は行われはしたものの、
 その破天荒な生き方そのものは変わることはなく、彼は全ての道を、己が力で切り拓いていった。
 どこまでも自由に。
 力も、富も、名声も、平和でさえも、彼に手に入れられないものは何も無く。
 暴れ馬は、やがて万人が認めるところの勇者として大成した。

 英雄として持て囃される生活に、やがて退屈を抱いたアレルは一人、旅に出た。
 求めたのは単純に、新たな刺激である。
 この地に彼が落とされたのは、そんな矢先であった。

941 :牢獄の番人 2/5 ◇HGqzgQ8oUA:2012/04/03(火) 23:22:13.63 ID:oY8ORAK00

 強制的に戦いを強いるというこの場は、望んだ刺激と程遠く、到底受け入れられるものではなかった。
 己の望むがままに進むアレルにとって、束縛を意味する首輪などは特に不愉快で。
 アレルは憤慨し、苛立ちを隠しもせず牢獄の町を歩いていた。
 そんな矢先に挑まれた決闘を、彼が受けない理由はなかったと言えよう。


 ○


「では、参る!」

 牢獄の町に、気合の咆哮が響き渡る。
 先制したギュメイの鋭き炎を纏った斬撃を、こともなげにアレルは打ち払った。
 すかさず反撃に転じようとするが、ギュメイは重心を取り戻し、既に追撃を構えている。
 足元よりバランスを崩さんと振り上げられた斬撃を、アレルはそれでも冷静に後退して回避。
 右脚に力を込め、ギュメイを押し潰す勢いでアレルは猛進。
 しかし当たるか当たらないかのところでギュメイは脱力し、勢いを殺してから剣を突き出した。
 アレルは目だけでそれを追うと、前屈のような形で避けてみせる。
 そのまま床に両腕をつけ、それを軸にして倒立し、足を開いて大きく回転。
 体術を以ってギュメイを怯ませると、アレルはいきおい立ち上がり今度は上段に剣を構え、跳躍。
 ギュメイが受けることを放棄し後退すると、剣の振り下ろされた床面が大きく爆裂した。
 飛び散る石材に乗じてギュメイが前進すると、アレルはそれを待っていたとばかり正面から受ける。

 そうして、鍔競り合う形で二人は対峙した。

「自己紹介が遅れたな、オレはアレル、覚えておきな」
「どうやら相当な手練の様子。こうして剣を交えられること、礼を言わせてもらおう!」
「こっちも嬉しいぜ。オレに堂々とケンカを売りに来たやつは、久しぶりだからな……!」

 その後の二人の剣戟は、熾烈を極めた。
 大剣であるバスタードソードを、まるでひのきの棒のように軽々と振り回す豪腕のアレル。
 長剣である山賊のサーベルに、持ち味の鋭い剣さばきが加わり、超スピードで立ち回るギュメイ。

 互いに戦いを長引かせることは得策ではないと考えながらも、一方でもっと続けたいと滾りあう。
 好敵手。互いを認めるのに、そう時間はかからなかった。
 だからこそ、アレルは問いかける。

「……お前は何のために今、剣を振るってんだ?」
「忠義の為。失われし我が主と、亡国の再建を望んでいる」
「で、それは誰が叶えるんだ」
「この死合いに勝利することで『褒美』が得られると聞いている。それを為して――」
「本当に叶うと、叶えてくれると思うか」
「!」

 剣戟が、止まる。
 ギュメイはひとたび距離を取り、思案する。アレルもそれを追おうとはしなかった。
 アレルの問いは、ギュメイの心に深く突き刺さった。
 蘇生に戸惑いその場しのぎの間に合わせとして考え付いた「帝国の再建」という動機。
 だがこれは、『馬鹿正直に魔物たちが願いを叶えてくれる』という前提に基づいたものだ。
 疑念にまみれた、ひどく不安定な前提であることは間違いない。
 それに。

「だいたい、そんな労せず手に入れたてめえの国に、そんなに価値があると思うのか?」
「……」
「内心、分かってるんじゃあねえのか。そんなことはありえねえし、そもそも違うんだってよ。
 そういう迷いが剣に現れてるいまのお前は、ちっとも面白くねえ」

942 :牢獄の番人 3/5 ◇HGqzgQ8oUA:2012/04/03(火) 23:22:52.78 ID:oY8ORAK00

 反論の余地がなかった。
 ギュメイの知るガナン帝国は、既に失われている。二度と蘇ることなどない。
 蘇ったとして、それは仮初のものに過ぎない。偽者だと言ってもいいだろう。
 ギュメイの知るガナサダイはもう亡く、三将としてしのぎを削ったゲルニックとゴレオンも倒れた。
 無論、ギュメイ自身の魂も。
 その全てに納得していたはずだというのに。
 目先に釣り下げられた安い餌に食いつこうなど、自身への、そして帝国への愚弄に他ならない。

「しかし、それでは我は、何のために生き返ったと……?」
「知らねえよ、そいつは自分で考えろ。ただ、せっかくもらったその命。
 このままこの殺し合いの為に、奴らの思惑通りに使って、それでいいって満足できるか?」
「……否」
「なら、オレと来いよギュメイ。お前の本当の剣を、オレに見せてみろ」
「……だが我は、二君に仕えるつもりは」
「従わせるつもりなんてねえよ、好きなようにしてりゃあいい。
 お前が無事に吹っ切れたら、そんときにもう一度、戦ろうぜ」

 アレルはニッと笑い、剣ではなく右手を突き出した。
 粗暴だが、力あるアレルの言葉に、ギュメイは大きく心を動かされていた。
 好敵手足りうるこの男と共に、新たな生きる意味を探すのも良いかもしれないと。
 ギュメイは、迷いながらもアレルのその手を取らんと新たな一歩を踏み出そうとして――。

 その手を取ることは叶わなかった。

 ビシュッ――

「がっ……!?」

 突如として放たれた矢が、アレルの首筋を貫いていた。


 ○

「何奴!?」

 突然のことに驚き振り向いたギュメイが眼にしたのは、浮遊する機械兵の姿。
 くすんだ鈍色の装甲は傷一つ無い光沢をたたえ、あらゆる攻撃を弾き返す鉄壁の防御を感じさせる。
 尾のように伸びた下半身の先にはビッグボウガンが備えられていた。
 アレルを射抜いた矢は、恐らくここから放たれたのだろう。
 目を惹いたのは、両手で構える星をかたどった戦鎚"星砕き"の存在だ。
 その直撃を受ければ命はないことは、想像に難くない。
 数々の脅威を従えた機械兵――キラーマジンガのモノアイは、ギュメイとアレルを確かに捉えている。

 キラーマジンガは再び弓を引き絞ると、今度はギュメイに向けて撃ち放った。

「ちいっ!」

 それを辛くも回避するも、キラーマジンガは既にギュメイに肉薄していた。
 胴体部を伸ばし、独楽のように上半身を回転させながらの突進。
 高速で振り回される戦鎚にたまらず、ギュメイは大きく吹き飛ばされて壁に激突する。
 サーベルで受けたことで負傷は最低限に抑えられたものの、問題はそこではなかった。

「アレル!」

 叫んだ時には既に遅く。
 キラーマジンガは勢いそのまま、負傷したアレルへと迫っていた。
 ギュメイを吹き飛ばすに留めたのは、先に弱ったほうから仕留めるためだった。

943 :牢獄の番人 4/5 ◇HGqzgQ8oUA:2012/04/03(火) 23:24:15.00 ID:oY8ORAK00

「くそ、があああああっ!!」

 首に矢が刺さり呼吸もままならぬアレルは、しかしそれでも十分な抗戦を見せていく。
 回転する戦鎚の一撃は回避し、今度はボウガンの矢も打ち払って見せた。
 が、さすがの勇者であっても、重傷を負った状態で戦うには困難な相手であった。
 酸素を失い、残る力の全てを賭けて放った突きは、胸部の装甲を僅かに貫くに留まり――。
 完全な無防備となったアレルの頭上に、一切の慈悲無く星砕きが振り下ろされた。

 ぐちゃり、どさり――……。命の潰える音が、響く。

 持ち主を失ったバスタードソードを体から引き抜くと、キラーマジンガはゆっくりと向き直った。
 改めて、次はお前だと言わんばかりに。
 モノアイを真っ直ぐに見据えて、ギュメイが吼える。

「よくも、よくも邪魔立てをっ!」

 好敵手を屠ったキラーマジンガに怒りをあらわにし、ギュメイは腰を落とし構える。
 狙うは必殺の一撃、魔神斬り。
 直撃すれば聖騎士すらひとたまりもないその一撃を、全身全霊をもって放つ――。

「――受けてみよっ!!」

 魔神の如く斬りかかったその一閃は、確かにキラーマジンガを捕らえていた。
 直撃すれば必ずや、装甲が砕け散るはずの威力であった、しかし。

 砕け散ったのは、山賊のサーベルだった。
 アレルとの剣戟をくぐりぬけ、星砕きの一撃に耐え、既に疲労の蓄積していた長剣。
 ギュメイの渾身の一撃と、厚き装甲の激突による衝撃は、限界を超えるに十分なものであった。
 
 刃を失い大きく威力を損ねた魔神斬りは、結局、肩口の装甲に傷を残すだけに終わる。
 武器を失ったギュメイに、もはや反撃を避ける術は残されていなかった。

「み、見事……!」

 キラーマジンガが、星砕きとバスタードソードを振りかぶる。
 ギュメイは同時に体を押し潰され、切り裂かれた。


 ○


 キラーマジンガに輝かしき生まれのルーツも、誇るべき育ちのエピソードも存在しない。

 ただ数多の冒険者を血の海に沈めてきたという、都市伝説がまことしやかに囁かれているだけだ。

 造られた命に与えられた『任務』は、一つ。

 自由に生きた勇者の剣も、忠義に生きた武人の剣も、機械兵にとっては等しくただの獲物に過ぎない。

「もしこの戦いを生き延びたいのなら、この私をたおしてゆくがいい――」

 キラーマジンガは牢獄を彷徨い、新たな標的を求めている。

944 :牢獄の番人 5/5 ◇HGqzgQ8oUA:2012/04/03(火) 23:24:52.14 ID:oY8ORAK00

【A-4/牢獄の町 居住区/朝】

【アレル(DQ3男勇者)@DQ3 死亡】
【ギュメイ将軍@DQ9 死亡】
【残り56人】 

【キラーマジンガ@DQ6】
 [状態]:肩口と胸部に傷(行動に支障なし)
 [装備]:星砕き@DQ9 バスタードソード@DQ3 ビッグボウガン(鉄の矢×27)@DQ5 
 [道具]:基本支給品一式 不明支給品(武器以外×0〜1)
     アレルの不明支給品(0〜2) ギュメイ不明支給品(0〜2)
 [思考]:命あるものを全て破壊する
※山賊のサーベル(折れている)@DQ9はギュメイの死体の付近に落ちています

945 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/03(火) 23:25:14.67 ID:oY8ORAK00
代理投下終了です。

946 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/04(水) 01:00:29.05 ID:Nem2AizxO
うおおマジンガ様やっぱこええええ

947 : ◆2UPLrrGWK6 :2012/04/04(水) 01:03:36.62 ID:2FnY9zxY0
投下します。

948 : ◆2UPLrrGWK6 :2012/04/04(水) 01:22:13.63 ID:2FnY9zxY0
レベル不足のため、あまりに投下に支障をきたすために代理依頼いたしました。
どなたかお手すきの方どうかよろしくお願いします。

949 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/04(水) 19:54:00.37 ID:T7XivLtF0
ドラゴンクエスト・バトルロワイアルII Lv1
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/ff/1333536494/

容量が限界近いので次スレを建てました。
あと代理投下しますね。

950 :scissors and foolish1/6  ◇2UPLrrGWK6:2012/04/04(水) 19:55:32.76 ID:T7XivLtF0


「まっ暗だ」

抑揚のない声が、暗闇に木霊する。
彼の声が示すまま、そこは一面広がる闇だった。
それっきり一言も漏らすことがなく、ただただ沈黙が続く。
そしてしばらくして。

「灯りが、いるな」

ごそごそと、感触を頼りにふくろを漁りだした。
何が何だかわからないまま招かれたこのゲーム。
確かに彼ならば魔王たちの目に留まるのも無理ない存在だ。
何せ、彼は破壊神を仲間と共に討伐したいわば『勇者』である。
お声がかかるのも当然、そして大活躍間違いなしの有望株─と、言ったところだろうか。
だが。
現実は少し違う。
あまりに致命的な弱点が、彼にはあった。

「つかん」

支給品の着火器具、ランタンを取り出したまではいい。
それが、どちらも暗闇を照らすのに必要なところまではわかる。
わかるのだが。
どうやって火をつけるのか。
それにどうやって灯りをともすのか。
彼はそれらを行うのに、致命的に─頭が弱かった。
わからないなりの行動で、ランタンの蓋を開けようと手に力を込める。
だが。

「あっ」

ランタンは、紙屑のようにくしゃりとつぶれてしまった。
不良品だったわけではない。
彼の力が強すぎるのだ。
隣国の王子という仲間を得るまでは、暗闇を勘だけで進まざるを得なかった理由がよく理解できる。

「またやってしまった」


彼は、生まれながらに異常なる力を携えて生まれてきた。
両の足で立つことを覚える前に、逆立ちをしてみせる。
年上の子供と駆けっこをしてみて、あっさりと追い抜いてしまったこともある。
さすがは勇者の血筋、神童だと皆が持て囃した。
だが、やがて彼の底なき力が、更なる頭角を現す。
神童と呼ばれた赤子は、やがて怪童と評されることとなった。

彼の力は決して尋常なものではない。
ようやく、ようやくではあるが皆が異常を感じ始めたのだ。
与えられた玩具は全て変形し、酷いときには握りつぶされた。
乳母が手を引けば、逆に引きずられ怪我を負う。
勉強の時間には羽ペンを何本もへし折って、最終的に何があったか家庭教師の鼻もへし折られた。

父王は、力の有り余る息子に王宮剣術を習わせてみた。
行き過ぎた力も、発散すべきところで振るえば少しは収まるのではないかと、考えたからだ。
だが、現実はうまくいかない。
剣の指南役を完膚なきまでに打ちのめし、二度と剣を握れない体にしてしまった。

951 :scissors and foolish2/6  ◇2UPLrrGWK6:2012/04/04(水) 19:56:26.00 ID:T7XivLtF0
いつしか、王子の周りからは誰も居なくなった。
まるで檻から放たれた獣。
いや、それ以上に恐ろしいものを見る眼で、彼を遠巻きから眺めることしかしなくなった。

やがて怪童は─悪魔の子とまで呼ばれた。


ある日彼は、半ば追いやられるように、邪教の神官を倒す旅へと差し向けられた。
姉妹国が陥落したのをいいきっかけとでも言うかのように、剣一本とはした金だけを握らせ。
彼の父は、死出の旅へと息子を追いやったのだ。
いつか、自分の国が息子によって滅ぼされるのではないか、と恐れたために。
いっそ名誉の戦死を遂げることを望み、その背を押したのだ。

だが。
彼は帰ってきた。
ハーゴンはおろか、破壊の神すら捻じ伏せて。
恐るべき膂力で、すべてを破壊して帰ってきたのだ。
国民は世界の平和が取り戻されたことに喜び─我らが王子の無事の帰還に、大いに嘆いた。

破壊神をも破壊した恐るべき存在が、帰ってきてしまったと。



「あのとき父上は、ハーゴンを倒してこいと言った」

彼はこうみえて、父を信頼していた。
心に秘めた善き王になろうという気持ちに、一片の曇りもない。
もっとも嘘がつける頭は持ち合わせていないが。
ともかく彼は、正真正銘の『勇者』たる者で間違いないのだ。
だが、余りに─無知すぎた。

「今、おれは、どうする。どうしたらいい。また、戦えばいいのか。戦って─」

目の前で起きた惨劇に、怒りが湧くこともない。
これから起こるであろう争いを、恐れることもない。
なにせ─

「みんな倒せば、いいのか?」

彼には未だ『命』が理解できないのだから。
自分が奪った幾多もの魔物の命も。
周りで失われていった数々の人間の命も。
自分自身が、今生きているという事実すらも。
倫理とかそういうものを、超越していたところに彼は立っていた。



「ヒヒ……おまえさん……こっちへおいでよ」
「?」

悩める彼を、ひとつの声が導いた。
かすれた声がこちらに届くが、なにせ完全な暗闇では正体がわからない。
持ち前の動物的勘で、声のした方に足を進める。
通常手さぐりでおっかなびっくり進むであろう闇の中を、ずんずんと自信ありげに。

「そうそう、こっち……」

952 :scissors and foolish3/6  ◇2UPLrrGWK6:2012/04/04(水) 19:57:00.49 ID:T7XivLtF0

ぼう、と光を見つける。
向かうと曲がり角の先に、ぽつりとランタンが置かれていたのだ。
灯りの主は、いない。

「おまえさん、灯りが欲しいんだろう?見てたよ」
「見えるのか?」
「暗闇にゃ慣れててね……ヒ、ヒヒ」

妙に上擦った笑い声が、か細く彼の耳に届く。
が、やはり姿が見えない。
声の大きさから、そう遠くには居ないはずだというのに。

「壊れちまったランタンの代わりに、俺のをやるよ」
「いいのか?」
「俺にゃ必要ないからねぇ。火を消すくらいはできるだろう?」

既に灯りが灯ったランタンを拾って、再びきょろきょろと見回す。
道は照らせたものの、先行きが暗闇なのは変わりない。

「ありがとう」

長い旅で仲間から教わった、貴重な財産を口にする。
わずかながらも人としての心を、長い旅と仲間との絆から彼は得ていた。
ローレシア王も、ほんの僅かでも息子を信じていれば、きっと気づいただろう。
彼が遂げた、素晴らしき成長に。

「礼はいいさぁ……それより、お兄さん。迷っていたね?『どうすればいい』って……」
「わからないんだ。おれは何をすればいいんだろう」

だが。
自らの願いを実現するために行動する。
なんとも惜しいことに彼には類稀な力を用いるべき指針。
すなわち『夢』や『望み』をまだ、彼は見つけていなかった。

「おやおや。聞いていなかったのかい?」
「え?」
「あのじじいが言ってたろう『 お前たちにはこれより、殺し合いをしてもらう 』 ってね」

暗闇からの声が言うとおり、確かにそう言われてこの地に招かれた。




殺し合い。

(なんだろう)

殺す。

(それはいったい、なんだろう)

その言葉が、彼の心に引っ掛かりを覚える。
彼は─あまりに、素直すぎた。

「殺すって、なんだ?」

953 :scissors and foolish4/6  ◇2UPLrrGWK6:2012/04/04(水) 19:58:11.94 ID:T7XivLtF0

「……ヒ、ヒヒ!ヒッヒ!いやぁ、そんな質問されるたぁ思ってなかった」

誰よりも純粋故に、質問を投げかけた。
その答えとばかりに、さも愉快そうに暗闇の中から笑いが届く。
対して彼は、首をかしげることしかできない。

「ヒヒ……ああ悪ぃね、もののついでだ教えてやるさ……そのふくろ、中身を見てみたかい?」
「まだだ」

手を入れて最初に出てきたのは、盾だ。
何とも禍々しく巨大な『オーガシールド』。
彼はそれを、なんとも軽々と掲げてみせた。

「おお、いい、実にいいよそいつは。だが戦いには必要なモンが他にある」

次に取り出したのは腕輪。
満月を模った宝珠が光る『満月の指輪』。
とくに躊躇いもなく、指に嵌めてみる。

「指輪は、戦士のたしなみだ。なんつってな、だがそうじゃねえ。それじゃねえのよ」

そして最後に、彼もその手に懐かしい感触が残る武器が取り出された。
『大金槌』。
破壊力のみを追い求めたシンプルかつ強固な作りの、打撃武器である。

「そう、そういうのだ……簡単さ。
 『武器』を『装備』して『戦う』。おまえさんがするのはそれさ」
「そんなことで、いいのか?」
「その体つき見りゃわかるぜ?おまえさんはそれしか能が…おっと、それが得意なんだろう。
 なら、ここでも同じことをやってりゃいい。」

なんとも真っ直ぐな目標を目の前に打ち立てられた。
揺れることなど微塵もなく、ただ真っ直ぐに─

「わかった。そうする」

歩み出すしか、なかった。
善悪の分別も。
倫理観も。
彼には不足し過ぎていた。
闇からの上擦った笑いが、抑えきれなくなるようなものに、変わる。

「そーさ、人間だろうが魔物だろうが構うこたねえ。
 勝ち残ってお前さんの願いでもなんでも叶えちめえばいいのよ」
「ねがい?」


954 :scissors and foolish5/6  ◇2UPLrrGWK6:2012/04/04(水) 19:58:55.21 ID:T7XivLtF0

「無きゃ無いで別にいい。『いいえ』とでも言っておきな。
 ともかくお前さんのやるべきことを俺ぁ確かに教えたぜ。がんばりな」
「わかった」

とうとう、顔も見せない闇からの囁きに唯々諾々と彼は従う。
余りに純粋で、無垢で、そして危うき存在は、解き放たれたのだった。
彼は気づかなかった。
名簿というものが、ふくろの中にあることを。
気づけなかった。
この地に招かれた、大切な友の存在に。

破壊神を破壊した男が、暗闇を抜けだし歩き出す。
無限の戦いが待つ、道へと。





「……バカとハサミは……ってね、ヒヒッ」


暗闇に完全に溶け込んだ存在が、カタカタと顎を鳴らして笑いを漏らす。
影の騎士。
アレフガルド侵攻の折に、潜伏能力を大いに活用し主に諜報活動を行っていた魔物だ。
何の因果か招かれたこの戦いで、影の騎士は妙案を思いつく。

「最後の最後まで、闇から闇へと……ヒッヒッヒ」

戦わずして勝つ。
そう、自らの主ですらも出し抜いて、勝者となるべく策を巡らせたのだ。
竜王にすら表だって見せない、その狡猾な本性が今露わとなった。

「さて……あのボンクラは何てぇ名前かな……?」

最初の標的が余りにもすんなり扇動され、彼は笑いが抑えきれなかった。
次はどう騙そうか、どう嘯こうか。

(ヤツの名を殺人者として他の連中に吹き込もうか?
 ヤツに仲間がいればそいつも殺人者の仲間ってこった!!)

人を陥れるという事をまるで遊戯のように考え、今や玩具扱いしている。
考えるだけで愉悦に溺れそうであった。

「……?」

笑いがピタリと止まる。
狡賢く、知略を巡らしてこのゲームに臨もうという影の騎士に。
理解しえない最初の壁が立ちはだかったのだ。


955 :scissors and foolish6/6  ◇2UPLrrGWK6:2012/04/04(水) 19:59:18.71 ID:T7XivLtF0




「もょ…もと……?」



どう発音しよう。
髑髏の顎が開きっぱなしになった。


【E-8/欲望の町/朝】

【もょもと(ローレシア王子)@DQ2】
 [状態]:健康
 [装備]:おおかなづち@DQ2 オーガシールド@DQ6 満月のリング@DQ9 
 [道具]:基本支給品一式     
 [思考]:『たたかう』


【E-8/欲望の町 炭鉱/朝】

【影の騎士@DQ1】
 [状態]:健康
 [装備]:不明
 [道具]:基本支給品一式(ランタンなし)不明支給品1〜3
 [思考]:闇の中から中へと潜み続けて、戦わずして勝ち残る。
     争いを加速させるためあらゆる手段で扇動する。


956 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/04(水) 20:00:18.26 ID:T7XivLtF0
代理投下終了。
次の話は次スレへお願いします。

ドラゴンクエスト・バトルロワイアルII Lv1
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/ff/1333536494/

957 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/05(木) 13:20:48.19 ID:Qjv6fd9s0
始まったか

958 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/06(金) 00:03:02.87 ID:XonyO24Q0
埋まるまではこっちのスレ使った方がよくない?

959 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/06(金) 00:31:47.20 ID:iyP8TNPk0
容量がもうギリギリなんよ

960 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/06(金) 15:59:36.54 ID:Bl+i69DW0


961 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/06(金) 20:58:19.29 ID:F/jEEz2Q0
うめうめ

962 : ◆0/.3OCgGdE :2012/04/09(月) 19:54:25.39 ID:eIrzHT+pO
テス埋め

963 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/10(火) 16:26:28.94 ID:Y9EgecSR0
うめ

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